a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
手のひらに触れた本郷の手が退けたときに現れたリボンに、五月女は大袈裟な程驚き、悲鳴に近い声を上げた。
「ここ、これって……!!」
「私と一緒に三年間を過ごしてきたリボン。良祐にあげる」
なんでもないことのようにさらりと告げられるが、五月女にしてみればこれ程嬉しく、心臓に悪いサプライズはない。
「少し離れちゃうけど、そのリボンを私だと思って、あと1年頑張って。告白の返事はこれってことで良いかしら?」
「え……っ…と……それって、つまり……」
言い淀む五月女に、本郷は呆れたように苦笑した。
「私にとっても良祐は大切な、特別な存在ってことよ」
「………せ、」
せんぱーい!
と五月女は感極まって叫び、玄関先であるにもかかわらず本郷を抱き締めた。
本郷も非難の声を上げながら、嬉しそうに彼の腕に納まっている。
こうして、卒業式にて、新たなカップルが誕生した瞬間を、明衣と楡は遠巻きに見ていた。
「へぇ…あの二人が」
「って、気付いてなかったの!!?」
仮にも二年間一緒にaucやってきているはずの楡は、表情には出さないものの、驚いたように呟いている。
明衣は若干引きながら得意のツッコミを入れた。