a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
《この子を拾ってくれた人へ
まずは謝りたいです。すみません。この子を産んで一年経ちました。私はこの子を育てることが出来ません。
経済的に裕福で、愛情に恵まれた家に拾われてくれたら嬉しいです。
名前は慶一。
誕生日は3月7日です。
誕生日は祝ってあげてほしいです。どうか、幸せに─……》
手紙を読み終え、明衣が顔をしかめた。
「何なのよこれ。自分で産んだくせに他人に渡ること前提で捨てたわけ?無責任な奴!最低じゃん」
「確かに……子供のことは何一つ考えられてないわ。だって、拾われる前に餓死してしまうかも知れなかったのよ?」
本郷も眉を寄せ、怒りの籠もった口調で言った。
ただ一人、五月女は紙を見つめたまま、微動だにせず何か考え込んでいるようだった。
やがて紙から目を離すと、楡に視線を向けた。
「先生」
「……ん?」
「今回の依頼、俺から頼んでも良いですか?」
「ん」
楡は短く言うと、プリントに手を伸ばし、ボールペンを取った。
五月女は紙を握り締めた。
「慶一くんの…親探しをしたいんです」