a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
──慶一くんの…親探しをしたいんです……──
そう言った五月女の瞳は、何時もの抜けた様子は微塵も感じさせない、とても真剣なものだった。
元々皺くちゃだった紙が更にヨレヨレに成るくらい、指先が白くなるくらいにキツく、それを握っている手も、小刻みに震えていた。
そんないつもとは違う彼に、明衣も少しだけ目を伏せた。
「……ぅえ、ふぇーん……」
不意に、楡の背中に負ぶさっていた慶一がぐずり始めた。
楡は無意識に「…よしよし」と呟きながら体を僅かに揺らす。
その様子は、まるで中年の女性が無理矢理女子高生の制服を着ているかのような、そんな違和感がある。
…えーと、詰まり似合わないのだ。
尚も泣きじゃくる慶一を、仕方無いとばかりに背から下ろし、今度は抱っこしてあやす楡。
明衣は、悪戯っぽくにやりと笑うと、言った。
「似合わないよ、アンタ」
「……わかってる」
無表情で子供をあやす楡は、ただ機械的に口を動かして答えた。