a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
廊下でひたすら待っていた知良も、何だか甲高い、空気を裂くような声に思わず立ち上がった。
生まれたのだ。
待ちに待った、我が子の誕生なのだ──……
「お父さん。奥さんも、子供も。頑張りましたよ。元気な男の子です」
看護士はニコニコと笑いながら、その腕に居る子供を、知良に見せ付けた。
知良は安心したように顔を綻ばせ、我が子の頭を撫でた。
その後、ぐったりした様子で病室に戻った祐子の下に、知良は迷わず向かった。
知良の姿を確認した祐子は、疲れ切った表情に、少しだけ笑みを浮かべた。
「祐子………祐子!頑張ったな!ありがとう……」
「……赤ちゃんも頑張ったのよ。……最初、泣かなかったんだけど。頑張って、元気に泣いてくれたわ……」
二人は、出産を心から喜んだ。
赤ちゃんの名前は、『良祐』。
お互いの名前から、一文字ずつ取った。
二人の愛が、ずっとずっと、彼に伝わるように。
二人の良いところが、彼に受け継がれるように。
例え何があっても、二人は彼の味方であることを、愛していることを、
伝えるために。