a☆u★c〜全部請け負う部活動!!〜
*愛情の連鎖*
***
「一筋縄じゃ行かなくて、苦しい思いもたくさんして、それでいて、俺は産まれてきて……」
五月女は母の話を思い出すように目を細めた。
慶一は、今のところは楡が預かるらしい。
「アンタ、今でこそそんなキャラだけど、大変だったのね……」
「明衣ちゃん……それはどう受け取れば良いのかな?」
相変わらず二人は何か会話をすると言い合いになってしまいそうな空気だ。
本郷は、仲が良いのか悪いのか、楽しそうな二人を見ながら無意識に笑みをこぼした。
「アンタのお母さん優しいのね。羨ましいわ」
不意に、明衣が淋しそうに目を伏せた。それを五月女は見逃さない。
「明衣ちゃんのお母さんは先生なんだろ?」
「……何で知ってんのよ」
「さぁね〜♪ウフフΨ(`∀´#)」
「……気味悪……」
嫌そうに顔をしかめた明衣に、五月女は優しく微笑んだ。
「……明衣ちゃんのご両親も、きっと明衣ちゃんのことが愛しいはずだよ。
生きものは皆、愛する力が備わってるんだから」
「………五月女……」
明衣は、不覚にも涙が出そうになっていた。
夕日が生暖かく顔を照らした。