Magic Academy ~禁書に愛された少女~
部屋に入ってそらは呆然とした。

「あはは…ひっろ…」

今までそらがすんでいたのは1LDK。家族3人で住んでいたときはそれなりに狭さも感じていたが、1人になったときには、少し広いと感じたくらいだった。

が、今回の寮。
なぜか3LDKもある。

寮の規則には、特に誰かを泊めてはいけないだとか、そういったルールはなかったので、ゲストルームも含まれているのかもしれない。だが、それにしても3部屋とは。さすがに広すぎだろうと、そらは苦笑した。

「さってと。とりあえず、まずはもらった教科書とかの確認から」

ごそごそとポケットから1つのカプセルを取り出し、上下を持って捻る。すると、ぽんっという音と共に、大きなBOXになった。

「えーっと、魔法史に、薬学でしょ、それから…」

がさがさと入っている荷物を確認すると、1つだけ足りないものがあった。

「あれ?アイテム作製の教科書がない」

1冊教科書が足りないことに気づく。幸い、その授業はまだすぐにはないので、明日にでも取りに行けばいいかと思ったのだが、万が一、授業に間に合わないとまずいとも思ったので、時間もまだあるということで、今から支給室へと向かうことにした。

エレベーターで1Fへと降りる。


…テレポ。チャレンジしてみよっかな~…


今まで一度も成功したことの無いテレポート。特に不自由も感じなかったし、使えなくてもいいと思っていた。
が。
今日の入学式の後。さすがに、皆が使っているのに、自分だけ使えないというのは少々まずい。そう思って、思い切ってチャレンジしてみることにした。

「えーっと、支給室、支給室」

目を閉じて、支給室を思い描く。もやもやとした形では、失敗する可能性が高い。必死で思い出す。


そのとき。


なぜか、あの倉庫のイメージがフッと出てきた。
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