Magic Academy ~禁書に愛された少女~
言われてあっと気づく。

「ほんとだ…そうだよね」

苦笑いを浮かべるそらに、本はボソッと答えた。

『シーク』

「え?」

何を言われたのかわからず、思わず聞き返すそら。

『だから、名前だよ。シーク。前に知り合った子は、そう、俺のことを呼んでた』

「へー、シーク、か。かっこいいね」

そらが答えると、シークからなんの返事も無かった。

「シーク、今日は助けてくれてありがとう」

『俺の方こそ、礼を言わないとな』

シークに言われて、そらは首をかしげた。

『お前が封印をといてくれたおかげで、俺はやっと外に出られた』

「えっ!?いつ、私封印といたの!?」

あせるそらに、笑いながらシークは答えた。

『ははは!お前気づいてなかったのか!?』

そらはシークをぎゅうっと握り締めて問い詰める。

「いつ、いつよー!どうしよ、なんかやばいことになるのかなぁ」

『い、痛ててて!やめ、やめろって!』

シークが表紙をバタバタさせると、そらは手にこめていた力を緩める。

『お前が俺を手に取ってくれたときだよ』

言われて、たったあれだけの行動で!?と、眩暈がした。
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