Magic Academy ~禁書に愛された少女~
「しっかし、本当に今日は月が出てないんだなぁ」

うみはそう言うと、ベランダの出入り口をガラッと開けた。

「うー、さみ!少し冷える…」

言いかけたところで、うみの動きがぴたりと止まった。


え…?


「うみ、どうしたの…?」

慌てて駆け寄る。
すると、そこには虚ろな目をしたうみの姿があった。

「なに…これ。どうし…!?」

振り返ると、アッシュもドルイドも。
二人も同じく、虚ろな目をして、ぼうっとソファに座っていた。

『そら』

シークの声がした。

「どうしよう、皆が…!」

そう言ったときだった。

「スレイプニル…?」

すぅっと自分のところに箒がやってくる。
そして、自分に乗れといわんばかりにぐいぐいと箒を押し付けてくる。

『乗るんだ、そら』

「シー…ク?」

わけがわからないという表情をするそらに、シークがもう一度言った。

『乗るんだ、そら』


シークに言われるまま、そらはスレイプニルに乗った。



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