Magic Academy ~禁書に愛された少女~
「長かった…この時をどれほど待ちわびたことか…」

シークはそう言うと、チャリッと音を立ててそらの首から外れた。

「え…?あ、シーク?どうした…」

言いかけてそらはその続きが出てこなかった。

書物の姿に戻ったシークは、パラパラとページをめくり、そして、あるページでぴたっと止まった。

「な、に…」

ぶわっと体中総毛立つのを感じた。


怖い。


恐怖がすべてを支配する。


何が一体、これから起こるって言うの…?


目には涙が溢れてくる。


「心配は要らない。大丈夫だ」

シークはそう言うと、赤い光を帯び始めた。

「シーク…?」

頬を伝う涙。
これから何が起ころうとしているのかが、全くわからない。

「お前がここにきてくれたおかげで、俺は元に戻ることが出来る」

そう言うと、すぅっとさらに高いところへとシークは浮かび上がっていく。

「シーク!!」

まるでそらのこえは何も聞こえていないかのように、シークはぐんぐんと昇っていった。




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