Magic Academy ~禁書に愛された少女~
まるで実態を持っていないかのようだった自分の存在が、声を掛けられて一個の個体として形をなし始めた。

「彼女は生贄に捧げられた。遠い昔に」

その言葉に大きく心臓がどくんと音をたてた。

「彼女は、異端児であった俺と出会った為に、命を落としたんだ」

少年の言葉に、何と言っていいのかわからず、ただ、じっと、少年の燃えるように紅い瞳を見つめていた。

「あぁ…本当に人はどうしてこうも愚かなんだろうか」

少年はふと、自分の後ろを、憐れみに満ちた瞳でじっと見つめて言った。
少年の視線の先を、自分も見ようと振り返る。

そこに広がっている光景に、そらは目を疑った。

真っ赤に燃え盛る炎と、大勢の人の屍、そしてあたり一面、血に染まった大地。
そして、一人の少年と、それを取り囲むように、手に様々な武器と思しきものを持った大勢の人の姿。


だけど、なぜか取り囲まれている少年は楽しそうに笑っていて、周りの人たちの方が、怯えているような、恐れているような表情を浮かべていた。




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