Magic Academy ～禁書に愛された少女～

「水晶はもう確認したかな？私が、この一年、君たちの担任となるオリゼです。よろしく」

そう言ってにこっと笑った。さわやかといった表現が似合いそうな人だ。

「さて、君達には、今から入学式に参加してもらいます。その後、教室へ戻ったら自己紹介をしましょう。在学中に必要な教科書なんかは戻ってくるまでに席に置いてくれているので、各自確認をすること。では、新入生諸君。会場へ向かいましょう」

そう言うと、先生を筆頭に、ぞろぞろと順番に教室の外へと出た。

入学式が始まり、学長の言葉やなんやと、生徒はみな、希望に満ち溢れた表情で話を聞いていた。


ほんとに、なんかの間違いじゃない？


ため息をつきそうになるのを、ぐっとこらえて、そらは壇上を見た。世界中に中継されているアマダスの入学式の最中に、ため息なんてつこうものなら、明日まで生きていられないかも知れない。

そのくらい、期待と羨望のさなかにあるのだ、この学校は。

「では、新入生は各クラスに戻ってください」

その指示が出ると、ほとんどの生徒の姿が消えた。その瞬間、そらはまた、どんよりとした面持ちになった。

基本的に、移動に歩いたりする生徒はほとんどおらず、テレポート（瞬間移動）で移動するのがほどんどなのだ。初めての場所へはできないため、最初は歩いていくことが必須となるが、1度でも行ったことのある場所であれば、たいていの場合は、テレポートで行き来することができる。
そして、ここは魔法学校。当然のごとく、テレポートで生徒達の大半は移動していったのだった。