禁じられた遊び
ベッドに座るなり、克波さんがごろりと横になった

あたしは買ってきた湿布薬を出すと、ベッドの上に並べて行った

「俺、フラれた……小花に
九条家に帰ってこないのを見ると、勇人さんのところにいると思う
小花は勇人さんを好きだから」

「えっ…知ってたの?」

「は?」

「あ…いや、えっと、その…」

あたしは、湿布薬の箱をくるくるを回しながら口ごもった

勇人さんと小花さんのキスを見た…なんて言えないよ

「んだよ、桃香も知ってたのかよ
格好わりぃな、俺」

「格好……悪くないと思うよ
好きな人のために一生懸命なんだもん」

「これで良かったんだ
勇人さんなら、小花を守れる
安全に生活できる
俺には…父親の監視下にある俺には…小花を守れなかったと思うから
でかい口は叩けるけどさ
実際問題、オヤジには勝てねえから」

克波さんの腕が瞼の上に乗った

…泣いてる

克波さんが泣いてる

苦しいって心が叫んでいる

本当は、克波さん自身が小花を守りたかっただろうに

そっか
小花さんは勇人さんのところに行ったんだ

両想いだったから

克波さんにはつらい事実かもしれないけど、想い合っている二人が一緒になれたのは幸せだね

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