禁じられた遊び

桃香Side②

「すっかり朝になっちゃったね」

テツさんが車の中で、明るい声を出した

「すみません」

あたしは後部座席で頭をさげた

あたしの隣に座っている克波さんは、薬で痛みがひいたのかぐっすりと寝ていた

口をぱかっとあけて、緊張感のない顔をしている

「朝食、僕の家で食べていきなよ」

「え? 悪いですよ…」

「いいって
克波君も家に帰れないんでしょ?
桃香ちゃんもこれから家に帰ってから学校に行くより…僕の家で朝食を食べたほうが遅刻しないと思うんだ
勇人様には僕から言っておくから」

「あ…でも、克波さんの怪我のことは…内緒で」

「うん、わかっているよ
誰にも知られたくないって病院で克波君が言ってたからね」

「すみません
ご迷惑ばかり……」

「いいんだよ
僕はこういうのが好きだから
全く頼られないより、頼ってもらいたいよ」

テツさん……

胸がどきどきする

そんな風に言われると、嬉しくなっちゃうよ

あたしは、高なる胸にそっと手をあてた

「…んぐ」

克波さんが、寝言のような言葉を吐き出すとあたしの肩に頭をのっけてきた

あたしに寄りかかると、安心したように口をとじて寝息をたてた

「あははっ
克波君は桃香ちゃんが好きなのかな?」

「まさか!」

克波さんは小花さんが好きなんですからっ

それにあたしは……テツさんがいい

テツさんともって仲良くなりたい…な、って思っているんだけど

テツさんはどうなんだろう
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