禁じられた遊び
あたし…失恋しちゃったみたい

テツさんと貴美恵さんの二人から、目をそらすと唇を噛みしめた

そうだよね

テツさんみたいな人が一人でいるわけがないよ

彼女くらい…いるよね

なに、勘違いしちゃったんだろう

馬鹿みたい

夜中にあたしの部屋に来てくれたからって……別に、そういう意味があったわけじゃないのに

そうだよ

あれは、あたしが電話したから

助けてもらった初日の夜だったし

それだけなんだよ

深い意味なんかなくて

テツさんの優しさであって、恋愛感情なんて最初からなかったんだ

あたしが勝手に興奮して、嬉しくなっちゃって、好きになってしまっただけ

「失恋した者同士、仲良く登校しような」

いつから目が覚めていたのか

克波さんが、あたしの手を握って耳に囁いた

「え?」

「お前の顔って、馬鹿正直だからな~
見てるだけでわかるんだよ」

克波さんが目を細めて、くすくすと笑った

「別に、失恋してないもん」

「嘘をつけ!」

克波さんが、肘であたしの脇腹を小突いた

「あーまずは腹が減った!」

克波さんがキスをしている二人にも聞こえるように、大きな声で言った

「え…あ、そうだったね」

貴美恵さんから離れたテツさんが、苦笑をする

「あ、桃ちゃん!
おはよう!
また会えるなんて嬉しい…って克波も一緒なのぉ?」

貴美恵さんが、克波さんの存在に気づくと頬を膨らませた

「俺が一緒じゃ悪いのかよ」

「だって勇人と桃ちゃんの二人がお似合いなのよ」

「ああ? そりゃ、わるーございましたねぇ
あいにくですが、勇人さんは小花とお楽しみ中ですから」

「え?」

貴美恵さんの顔が曇った

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