禁じられた遊び
なに?
どうして、貴美恵さんがそんな怖い顔になるの?

「そう…勇人と小花が」

貴美恵さんが長い髪を掻きあげた

「納得いかなそうっすね」

克波さんが車から降りながら、笑顔をつくる

ねえ、克波さん
無理しているでしょ?

本当は、心が痛くて小花さんと勇人さんのこと、考えたくないのに…

「納得いかないわね
克波には悪いけど、好きじゃないのよ、小花って子は
自分に正直じゃない女って嫌いよ」

貴美恵さんの目が鋭くなる

「九条家にいれば、性格も歪むんだよ」

克波さんがさびしそうにほほ笑んだ

「あら、九条にいても克波は素直じゃない」

「男の欲望に関して…ね
小花も九条家から解放されたら、きっと素直になるさ」

「そうかしら?
私はそう思わないわ
だって勇人だって利用されてるだけよ
九条家から逃げるための…壁にすぎないわ」

「勇人さんが壁になりたいって思ってるんだから、それでいいじゃん
…てか、早くご飯!
腹減った
昨日の昼から、何も食ってねえんだ」

克波さんが、お腹がさすった

「じゃ、私が作ってあげる」

「あ…それは勘弁して
テツさんの料理がいい」

「何よ! わたくしが作ったのは食べれないって言うのかしら?」

「食べれねーよ
くそマズイじゃん」

克波さんがそう言って、玄関に向かって歩いて行った

あたしもゆっくりと車から降りると、貴美恵さんに抱きつかれた

ええ?
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