禁じられた遊び
勇人が怒ってる

また桃花ちゃんのことで、感情があらわになった

それとも貴美恵さんだから?

「か弱い女を守るのが、金と権力しかない男の役目でしょうがっ!
こんなことになるなら、最初から克波に頼めばよかったわよ」

「あ? 克波?」

勇人の視線があがる

鼻息を荒くして、イライラしている貴美恵さんの顔をまっすぐに見つめた

「な…なによ」

貴美恵さんが、驚いた表情をした

どうして…貴美恵さんの口から克波の名が出てくるの?

勇人も驚いているみたいだけど、私だって気になるよ

私も椅子の横で立ちつくしたまま、貴美恵さんの目を見つめた

「克波がどうしたって?」

「良太郎から守るために、克波が桃ちゃんを家から連れ出したのよ
それで、一晩ラブホで過ごしたって……」

勇人が立ち上がった

上から貴美恵さんを見つめると、勇人の目が細くなった

「何で知っている?
でたらめを言うんじゃねえよ」

「だって克波と桃ちゃんが、テツのとこに来たんだもん
帰る場所がないからって
今ごろ朝食を一緒に食べてるはずよ」

「ちっ、くだらねえ」

勇人はダイニングを出ると、寝室に入って行った

不機嫌な顔をしてた

「あの…本当ですか?
克波が……桃香ちゃんと」


貴美恵さんが、私の目を見た

「ええ、そうよ
桃ちゃんを守るために、ちょっと怪我をしたみたいだけど」

冷たく貴美恵さんが言い捨てた
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