禁じられた遊び
私もきっと遠くから見ている人だったら、克波さんや勇人さんを見てはドキドキしてたのかな?

カリスマ的存在なんだろうなあ

勇人さんも克波さんも

そんな人と仲良くさせてもらっているあたしは申し訳ないよ

「女の嫉妬ってめんどくせえ」

小声で、克波さんが呟いた

「それだけ克波さんに人気があるってことだよ
ちょっと…羨ましいな」

「『ちょっと』だけかよ」

「あたしはいつも大勢の中に埋もれるタイプだから」

「あー、なんかわかるかも」

にぃって克波さんが笑った

「…てかさ、『さん』付けやめろよ
なんか、すげー距離感を感じるんだよな
近くで話しているのに、『さん』って聞くと100メールくらい突き放された気がする」

「んー、九条君?」

「『くじょう』?
『九条』って名は嫌いなんだ
絶対に呼ぶなよ」

「えー? じゃあ、克波様…とか?」

「うわっ…500メートルくらい突き飛ばされた
普通に『克波』でいいし」

「えー、嫌だ」

「俺がいいって言ってるんだよ!」

克波さん越しに、先生と目が合った

睨まれている気がするんだけど…

授業中に…ねえ
話す内容じゃなかったよね

でも克波さんは、やめる気なさそうだし、困ったな

先生の視線が痛い

「じゃ、克波君、前を向いて授業に集中しよ?」

「ヤダ
『克波』って言え
言ったら、授業を受けてやってもいい」

なんか
我が儘なんですけど…

「か…克波…」

「よし、じゃ、受けてやろう」

満足そうに克波……くんが頷くと、前を向いた


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