禁じられた遊び
『誰か、いるのかぁ?』

男の野太い声が廊下から聞こえてきた

あたしの身体は、声に反応してびくんとなった

ピアス男は廊下に出ると、教室の戸を閉める

「あ、山田先生、見回りですか?」

ピアス男の声がワントーンあがっていた

真面目で良い子って雰囲気の声で、教師に話しかけている

いや…学生でピアスをあけている時点で、どうかと思うけれど…

この学校ではあまり関係ないのかな?

『お? 小山内君かあ
こんな遅くまで仕事してたの?』

は? 仕事?

え…だって、ピアス男は学生でしょ?

「ええ、まあ」

『中間試験前なのに、大変だね』

「いえ、平気です」

『教室は……』

「あ、俺だけです
この階はもう俺以外には誰もいません
俺が責任を持って戸じまりをして帰りますので」

『そうか…じゃ、小山内君に任せるよ』

教師の足音がどんどんと遠ざかって行った

階段を下りている音が聞こえてくると、がらりと教室の戸が開いた

「着替えるのがおせえんだよ」

「あ…もう終わります。すみません」

あたしはブレザーを羽織ると、立ち上がった

なんか口調がむかつく男だけど
優しいヤツだ

良太郎に比べたら、全然……良いヤツだと思う

あいつはあたしを傷つけて、さっさと家に帰った

だけど
ピアス男はあたしを守ってくれたように感じた

言葉は悪いけど……


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