禁じられた遊び
「桃香が憎いだろ?」

背後から、男の声がした

私は振り返ると、ドアを少し開けてこっちを見ている西岡君と目が合った

「何か用?」

私は西岡君を睨んだ

好きじゃない

勇人を勝手にライバル視して、喧嘩を売ってくる男なんて最低だもの

「別に…桃香が邪魔なんじゃないかと思ってさぁ
あいつ、住んでる世界が違うのに、金持ちと同じ場所に立っているのかと思うと、虫唾が走るんだ」

西岡君がにやりと笑った

桃香ちゃんを邪魔だなんて、思ってないわ

…思ってない

でも、克波は桃香ちゃんに会ってすっかり変わってしまった

勇人も、感情をむき出しになる

全ては桃香ちゃんが起こす行動によって、二人とも影響を受けている


…だからって邪魔だなんて

「涼元が一生懸命守ってきた生徒会が、桃香によって壊されるのを見ているのが忍びなくてね
義理の妹は、何もわかっていない貧乏女だから」

私が一生懸命守ってきた生徒会

そうね

勇人と克波を支えてきたのは、この私よ

桃香ちゃんによって、生徒会の仕事が滞っているのは確かな事実だわ

勇人が、仕事を放り投げて帰ったのは昨日が初めてだった

克波だって何も仕事をせずに、部屋を出て行ったのは昨日が初めて……

一人増えたはずの生徒会なのに

仕事をが進んでないってどういうことなのかしら?

「桃香のせいだろ?」

私の真後ろに来ていた西岡君が耳元で囁いた

「平穏が戻ってきてほしい…と思わないか?
いつも通りの生活が恋しいと思わないか?
俺が…手伝ってやるよ」
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