禁じられた遊び

小花Side④

「お前って本当に阿呆だな…
中学のとき、何やってたんだよ!」

「そんなことを言われても」

生徒会室の長机に座って、桃香ちゃんと克波が数学の教科書を広げて勉強をしていた

二人の会話を聞いていると、今日の宿題らしいんだけど…

克波が桃香ちゃんに勉強を教えている

どうしてそんなことをしているの?

克波って他人に奉仕するようなことしないのに

勉強を見てあげるなんて、どうしちゃったのよ

他人が困っていても、気にするような人間じゃないのに

ただその場限りが、楽しければいいってそう考えている人でしょ?

なんで?
どうして?

桃香ちゃんの勉強を見てあげてるの?

私は書類の整理をしながら、二人の会話に聞き耳をたてていた

胸の奥が痛いのなぜ?

どうして、二人の会話を聞いているのが苦しいのだろう

『平穏が戻ってきてほしい…と思わないか?』

西岡君の声が、脳裏によみがえった

平穏って何よ

別に…今だって平穏だわ

桃香ちゃんさえ、いなければ……

いなれければ?

違うわ!

そうじゃない

私、今、ひどいことを考えてる

桃香ちゃんがいなくなれば、心の平穏が戻ってくるような気がして…

違うよね

誰かのせいにしちゃ駄目よ

だって桃香ちゃんのせいじゃないもの

そうでしょ?

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