禁じられた遊び
「自分で自分の格好良さを潰しちゃうなんて勿体ないね」

「いいんだよ
小花の幸せのためなら、俺は悪者にだってなれる」

「犯罪者にも?」

「なれるさ」

克波君が力強い目で頷いた

意思が強いんだね

覚悟もしている

この克波君の気持ちを、小花さんに知ってもらいたいって思うのは、あたしの我が儘なのかな?

こんなに克波君の格好良いところを小花さんが知らないなんて、勿体ないと思うの

こんなに愛されてるんだよ

深い愛に包まれているのに、それを知らないなんて、悲しいよ

「う~ん、どうしようか
二人ともいなくなっちゃって…」

「さっさと予算案を完成させて帰ろうぜ
数学の他にも宿題があるからな」

「やっぱり、きちんとやって行くんだね」

あたしは、微笑んだ

克波君は、無責任なことはしない

軽い男っぽく振舞ったり、悪ぶったりするけれど、それは演技であって
根はすごく誠実な人なんだと思う

克波君は顔をそむけると、喉を鳴らした

「うるせぇーよ
薬が切れて、足が痛くなってきたんだ
お前が書類を作れよ」

「はいはい」

「なあ、桃は俺を馬鹿な男だと思うか?」

克波君が、力のない声で質問してきた

なんだか広い背中が小さく見えた

「ううん、格好良いと思うよ」

「そっか……サンキュ」


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