禁じられた遊び
「勇人も克波も、私を見ていないもの
さっきだって、私とセックスする気なんてなかったんでしょ!
桃香ちゃんを守るために、西岡に何を言われたか知りたくて抱くフリをしたんでしょう
もう、うんざりよ
二人とも『桃香』『桃香』って呪文みたいに何度も声にして……苛々するのよ」

「なら、俺も言わせてもらう
小花だって俺を見ていないだろ
俺に愛されたいなんて思ってない」

勇人の言葉に私は、目を大きく開けた

「何を言ってるの?
私は……」

「九条克波に嫉妬してもらいだけだろ」

「そんな……私、別に……」

私は首を横に振った

「キスしても、何しても、必ず小花は克波と俺を比べてる
俺が何も知らないと思ってるのか?」

「ちが……」

私はさらに勢いよく首をふる

どうしたら、わかってもらえるの?

なんて言えば、理解してもらえるの?

「違わないだろ」


「私は克波なんて……」

好きじゃない!
あんな我が儘で、セックスしか頭にないような男なんか

第一、九条家の男よ

一緒になりたいなんて思うわけないじゃない

「悪い……今夜は別々に過ごそう
頭を冷やしたい
戸じまりはきちんとして寝ろよ」

勇人はベッドの脇にある棚から鍵を指で掴むと、携帯を握りしめたまま家を出て行った

私は一人で、広い部屋に残された

また、昨日と同じだ

会長室に残されたときと同じ

勇人に置いて行かれた気がした
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