禁じられた遊び
克波がくすっと笑みを漏らすと、尻を持ち上げて座る位置をずらした

「正直に話すよ
怪我は、オヤジにやられた
小花の居場所はどこだ?ってさ
知らねえって言ったら、ボコボコにされて、ゴミ溜めに捨てられたんだ
もう家に帰ってくんなって
んで、小花は絶対に勇人さんとこに行っていると思ったから、二人には連絡できないだろう?
だから桃香を呼び出した
ゴミ溜めに捨てられたから、体が臭くてさ
んで、近くのホテルに行った
そのあとは、テツさんに連絡して病院に行って治療してもらったんだ」

「なんで嘘をついたの?」

「本当のことを言ってどうするんだよ」

「え?」

克波が苦笑した

優しい瞳だった

温かい感情が感じられた

私を想って言わないでくれたの?

「困るだけだろ?
小花は勇人さんのとこに行ったのに
九条家からせっかく出て行ったのに、気にする必要はねえんだよ」

「そんな……」

だって、私のせいなんでしょ?

その怪我は、私が出て行ったから…

「オヤジはもう一人きりだ
後継者もいないしな…
ってわけでもないのか?
愛人にした女たちの中には、子ども産んだヤツがいるかもしれねえしな」

「いいの?
九条家を出て…」

「ああ、俺の夢も叶ったから」

克波の夢?

「聞くなよ、俺の夢が何だかって」

克波がほほ笑んだ

「小花、放課後
叩いて悪かったな」

「あ、ううん」

「あれ以上、小花の辛そうにしてるところを見たくなかったんだ」

「え? あれって桃香ちゃんが可哀想だからじゃないの?」

「桃?」

克波が首を傾げた

不思議そうな顔をしている
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