禁じられた遊び
「桃が可哀想?
あいつが?
何で?
あいつ、あんなことで傷つくような女じゃねえし」

え?

「あいつ、意外と図太い性格してるぜ
馬鹿だけどな」

克波が肩を揺らして、笑っている

「羨ましいな、桃香ちゃん」

克波に、理解してもらえてる

「…んな、泣きそうな顔してんじゃねえよ
桃は俺の理解者だけど、恋愛感情はねえんだ
俺の体を熱くするのは、小花しかいない
だから金だけの関係でもいいから、繋がりを持ちたかった
それで小花を傷つけていることも知ってた
知ってたけど、他のやり方を俺は知らなかったから」

克波が私から視線をそらした

「私も克波をたくさん傷つけた
九条家から出ていきたいって言っておきながら、一人になるのが怖かった
いつの間にか、克波に甘えているのに気付かずに、強がって、一人で立っている振りをしてたの
克波から離れて、すごく自分が情けなかったよ」

克波が私の手を握りしめてくれた

克波…

「ごめんね
でも、私、克波が好きみたい」

「俺も、小花が好きだ
この気持ちはずっと隠していこうって思ってた
小花が九条家を出たがっているって知ってたから、足枷になりたくなかった」

克波が体の向きを変える

私と目を合わせて、幸せそうに微笑んだ

やっと心が、繋がった気がした

身体だけじゃなくて、克波の心も私と重なった

自然と互いの唇が吸い寄せられて、キスをした

触れ合うだけの…少し物足りないキスだった

「薬が効いて、痛みが和らいだらセックスする?」

克波が、私の耳元で囁いた

「え? だって…怪我して…」

「そうだけど、体がなあ…言うこときかなくて
なんせ、勇人さんより若いからさぁ」

にぃっと克波が白い歯を見せて笑った
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