禁じられた遊び
ありがとうございます

あたしは、居間にいる勇人さんの姿を思い出すと心の中でお礼を言った

存在を否定しない言い方が、嬉しかった

いつも不安だったから

あたしは、ここに必要なのか?

ここに居てもいいのか?

勇人さんはそれに気づいてくれているのかもしれない

鞄の中で携帯が鳴った

あたしは携帯を出すと、液晶画面を見た

テツさんだった

「はい?」

『言い忘れてた…ていうか、勇人様の前だと言えなかったことがあるんだけどね』

テツさんの明るくて優しい声が、耳の中で心地よく響いた

「はい」

『勇人様って、一つのことに夢中になると寝食を忘れちゃうんだ
どうせ、今は克波君のために、必死になっているかな?って思ったからさ
桃香ちゃんが、適度に飲み物とか食べ物とか与えてくれたら、嬉しいなあって思ったんだ』

「あたしで…平気ですか?」

『桃香ちゃんだからいいんじゃない!
僕が言ったって無視するだけだから
それにね
初めてなんだよ
仕事をするってわかってるのに、その場所に他人を連れて行ったの
だから、平気だよ』

それだけ言うと、テツさんは電話を切ってしまった

そう言われても、自信がないな

少し時間が過ぎたら、冷蔵庫があったから覗いてみようかな?

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