禁じられた遊び
「誰にも言わねえよ」

ピアス男がぼそっと呟いた

「え?……いたっ」

ピアス男が足を止めたのに気付かず、あたしは背中に鼻をぶつけた

あたしの心を読んだ?

あたしの気持ちを理解してくれてるの?

「俺は薄っぺらい人間じゃねえ
馬鹿とは一線を引いてるんだ
一緒にしてもらいたくねえな」

それって……良太郎を『馬鹿』と思ってるってこと?

それで、良太郎とは一線を引いてるっていう解釈でいいの?

良太郎はクラスの人間にも冷酷なのだろうか?

気に入らないと暴力で、制圧しようとしてるのだろうか?

それをピアス男は知っている?

わからない

けど……あたしにとって、目の前に立っている男は『良い人』だ

顔つき…というか目つき…は怖いけど
話し方も声が低くて、言葉が荒くて怖いけど

危害を加えてこない

「ここだ」

「え?」

「お前は『え?』しか言えねえのか!
ここが俺のマンションだ」

「ちかっ…」

学校から徒歩5分

ううん、徒歩3分だよ

何、この近さは!
< 17 / 200 >

この作品をシェア

pagetop