禁じられた遊び
携帯で1時間過ぎたのを確認してから、あたしはそおっと居間に入って行った

勇人さんはあぐらをかいて、パソコンの画面とにらめっこしていた

時折、キーボードを叩いてはまた画面を眺めている

強い意思が感じられる眼差しが、学校とは違う一面を醸し出していた

凄く集中しているみたいで、あたしが部屋に入ったのにも気づいてなさそうだった

あたしは足音をたてないように、冷蔵庫に近づいた

中身を確認する

飲み物くらいは入っているかな?

コーラとウーロン茶、カルピスに、ビールが入っていた

どれがいいのかな?

質問したいけど、邪魔したら悪いし

文句を言われたら、違う飲み物を用意すればいいよね?

あ、チョコもあった

袋の中に小さいチョコがたくさん入っている

あたしはチョコとウーロン茶を出した

コップにウーロン茶を入れ、小皿にチョコを6つほど乗せるとおぼんを持った

そっと勇人さんに近づいていく

まだ気づいてないみたい

相当、集中しているんだね

まわりの音が気にならないくらい

「あの、これ…キリの良いときに休憩してください」

勇人さんの隣に、おぼんごと置いた

何の反応もない

勇人さんはパソコンをじっと見つめたまま、微動だにしなかった

あたしは、立ち上がって居間を出ていこうとした

反応するのを待っていても、迷惑だろうしね

「桃香?」

居間のドアを開けようとすると、背後から声がした

「はい?」

「早く寝ろよ」

「あ…はい」

寝られないよ

勇人さんが頑張ってるのに……

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