禁じられた遊び
「約束?」

「俺が怪我したのを、誰にも言うなって言ってあったんだ」

克波がごろりとベッドに横になった

「桃香ちゃんは、何でも知ってるんだね」

「あ…焼きモチ?」

克波がにこっとほほ笑んだ

「べ、別に」

「ふうん
桃とは似ている気がしたんだよな、俺と
父親を嫌うとことか
誰かを守りたいって思ってるとことか
…そういえば、おいつの口から父親が嫌いとは言ってなかったな
似てねーのかな」

似てる…か

私も小山内君と似ているって思ってた

けど、小山内君のほうがもっとずっと前を歩いていた

大きい背中同様

広い心を持ってた

私と全然違った

似ていると思っていたのは、私だけ

小山内君は全然違ったよ

「人って似ていると思っても、違う箇所もあるんだね」

「丸っきし、同じ人間はいねーってことだ」

克波が満面の笑みを見せた

「あー、セックスしたかったのにな~
勇人さんに止められちまったよ」

克波が残念そうに、口を開く

「小山内君、何をするつもりなのかな?」

「さあな
一人で全責任を負って、やろうとするなんてさぁ
少しくらい俺にも、手を貸せさせろってんだよ」

「怪我人じゃあね~」

「怪我をしてなくたって、勇人さんは一人でやってたよ
いつもそうなんだ
生徒会の仕事だって、やっと俺にも仕事を回してくれるようになったと思ったのに」

克波、寂しいんだね

小山内君が一人で、先を行ってしまうから

小山内君も甘えることが苦手なのかな?

ずっとひとりで、頑張ってきた人だと思うから

誹謗中傷の中で、一人で先頭を突っ走ってきた

負けることを許されず、勝つのが当たり前の世界で、必死にもがいてきたのかな?

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