禁じられた遊び
克波君が困った顔をした

「小花……俺…」

「いいよ、平気
だって克波は克海じゃないでしょ?
今までの九条家とは違う、九条家を作ってくれるでしょ?」

小花さんが微笑んだ

「ああ、もちろんだ」

克波君は体を起こすと、小花さんをぎゅうと抱きしめた

あの……あたしがいるんですけど
忘れてません?

あたしは携帯をポケットにしまうと、すっと二人から離れた

でも

良かった

二人とも幸せそうに笑ってる

本当に良かったね

あたしは、静かに廊下に出た

ボディーガードの人が、ぎっとあたしを見つめた

「少し、廊下にいようかなぁ…て」

怖い顔の男の人に、いいわけをする

だって中にいる二人が良い雰囲気なので…なんて言えないでしょ?

早く、勇人さん、戻ってこないかな?

居場所がないよ

…って勇人さんも見たくないよね

小花さんが好きなのに

克波さんと小花さんが幸せそうにしているところなんて

きっと苦しいだけだよね

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