禁じられた遊び
「九条家に戻って、大変じゃないのか?」

ほら
小山内君は優しい

心配をしてくれてる

私、小山内君にひどいことをしたのにね

なんか
涙が出そう

「ありがとう
大丈夫だよ
克波が優しいから」

「そっか」

「それにね
今の家は壊すんだって
あんなに広い家は移動が面倒くさいって克波が言うの
だから学校に近いところに引っ越すって言ってたよ」

「九条らしいな
あそこには良い思い出がないからだろう
小花にとっても、九条にとっても……これから新しい想い出を作って行けよ」

「ありがとう
私たちより、小山内君のほうはどうなの?
桃香ちゃんとの進展を、克波が楽しそうに待ってたよ」

「進展?」

小山内君の眉間に皺が寄った

「桃香と何の進展があるって言うんだよ」

不機嫌そうに言うと、歩く速度があがった

「だって一緒に暮らしてるんでしょ?」

「一緒に?
何を勘違いしているかわからないが、桃香はメイドだ
俺の身の回りの世話をさせているだけだ」

「ふうん」

私はわざと興味のなさそうな返事をした

「あ、桃香ちゃん、他の男子といちゃついてる」

「なんだと?」

小山内君の目つきが鋭くなり、私の指の先を見つめた

「嘘でーす」

「ああ?」

小山内君がのどを鳴らすと、恥ずかしさを胸の中に隠していた

可笑しいっ!

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