禁じられた遊び
あ。
鏡だ

ベッドの上にシ湿布の他に手鏡も一緒に買い物袋に入っていた

もしかして……湿布を貼るのに使えってこと?

ふうん
本当に気を使ってくれる男なんだね

あたしは寝室を見渡した

鏡はどこにもなくて、湿布を貼るのに必要だと思ったのだろう

部屋も綺麗だ

まあ、自分で綺麗にしているとは思えないけど

きっとメイドさんとか家政婦さんとかが毎日掃除をしているんだろうけれど

そういえば風呂場も綺麗に整えてあったなあ

良太郎とは全然違う

良太郎の部屋は汚くて……初めて部屋の中を見た時は、吐き気を催したくらいだ

ここは清潔感のあって、空気も澄んでいる

あたしはベッドに置いてある買い物袋を手に取ると、湿布箱を出した

体中が痛い

顔も腫れていた

どうして……あたしはこんな思いをしなくちゃいけないんだろう

ママの幸せを願って、再婚を喜んだのに

再婚相手の息子が最低で、最悪なヤツだなんて

『来てやったわよ』

玄関のドアが開くなり、女性の大きな声が響いた

滑らかで透き通る綺麗な声だった

居間のドアが開き、足音が聞こえた

きっとピアス男だ

『おせえんだよ』

『遅い? 人に注文をつけておいて、遅い?
相変わらず失礼な男だね
こっち急いで、制服を集めて持ってきてあげたのよ
20分でこれるなんて早いもんよ』

『俺が電話したら、5分で来いと言っている』

『はあ?
あんたのその俺様性格には呆れてモノも言えないわ
ほら、制服よ
いつから女装の趣味になったのよ
…てか
あんたの体じゃ、Mサイズはきついんじゃないの?』

『くだらねえ、冗談に興味はねえんだよ
寝室に怪我をした女がいる
キミが診てやってくれ』

『わかってるわよ』


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