禁じられた遊び
「あ、すみません
あたしは西岡桃香です
今日から紫桜学院の高校に通うことになりました」

「ああ、それで勇人を知らなかったのね
あれでも一応有名人だからさ
桃ちゃんは誰にヤラれたの?
私が仕返ししてあげるわ
こんな可愛い子を犯すなんて、勇人が許しても私が許さない!」

貴美恵さんの瞳がきらりと光った

拳を握って、にやりと微笑んだ貴美恵さんがあたしの目を見た

「で? 誰?」

「えっと…それは…」

あたしは下を向いた

言えない

義理の兄だなんて言えないよ

絶対に、倍返しされる

「そっか。無理しなくていいよ
本当にどうしようもなくなったら私に言いに来て
大丈夫よ
私はいつでも桃ちゃんの味方よ
辛くなったら、私が守ってあげる」

貴美恵さんが優しく微笑んで、あたしの手を握りしめてくれた

温かいぬくもりが、伝わってくる

「あ、早く着替えないと!
身体が冷えちゃうわ
それに約一名、五月蠅い男がいるしね」

貴美恵さんがあたしの手にカードを握らせた

見てみると、貴美恵さんのメルアドが書いてある名刺だった

「いつでも連絡して」

にっこりを笑う貴美恵さんの優しさに、あたしの目が熱くなった

「ありがとうございます」

あたしは深々と頭を下げた

「あ!
手当もしないとね
傷が残ったら大変よ…ってそのときは勇人に責任をとらせればいいわ」

「え?」

「金だけはあるから!
あいつが嫌なら、浮気すればいいのよ」

「ええ?」

「男は金よ…って私は金よりも心を優先にしてるけど
だって私自身がお金持ってるからさ
気にしなくていいの
でも男は金で価値が決まるわ
まあ、あんな性格だけど……目をつぶれば、顔もいいし、桃ちゃんなら我慢できるでしょ?」

「はい?」

「だから、勇人の恋人になれば?って話よ」

< 23 / 200 >

この作品をシェア

pagetop