禁じられた遊び
「本当にすみません
夜も遅いって言うのに…どうしてもテツさんの声が聞きたくなって」

『そう言ってもらえると嬉しいです
大丈夫ですか?
怪我とかしませんか?』

「顔は勇人さんにバレるからって、それ以外の箇所を殴るんですよ
賢いですよね
ずるいな…もう、本当に
逃げられないって知ってるから、本気で殴るんです」

『手当はしましたか?』

「ううん、何もしてないです
部屋から一歩も出てないし、部屋も真っ暗で…布団にもぐって電話してるんです
良太郎にバレたら、また殴られるから…」

『今から行きましょうか?
桃香様の部屋は2階ですか?』

「え? いえ…平気ですから」

行くって…それこそ良太郎にバレちゃうよ

ただ声が聞きたかっただけだから

寝る前に優しい声を聞きたかった

『やっぱり行きますよ
家の造りは今日見ましたから、知られずに部屋に入れますよ
任せてください』

「え…ちょ…待って…」

切れちゃったよ

これから、テツさんが来るの?

いいのに
ただ電話したかっただけだから

申し訳ないことをしてしまった気がする

< 58 / 200 >

この作品をシェア

pagetop