禁じられた遊び

桃香Side②

目が覚めたら、本当にテツさんはいなかった

夜中に、来てくれたこと自体、夢か幻だったのかな?って思うくらい

部屋の様子はいつも通りだったから

でも来てくれた証はあった

ツンと鼻につく臭いがあたしに夢じゃないと教えてくれた

体中に貼ってある湿布が、テツさんが来てくれた証拠

制服に手を通す

足や腕、鎖骨など

制服の外に出ている箇所の湿布ははがした

内出血の痕が、痛々しい

ママ、あたしは負けないから

ママの幸せを壊すようなことはしないから

だから……頑張るから、ママは幸せになって

あたしは携帯と出すと、メールを打ち始めた

『やっぱり一人で学校に行きます』

テツさんにメールをした

すぐに返信がくる

『何かあったの?
またお義兄さんに何かされた?』

『いえ、違います
テツさんに悪いから』

『悪いと思うなら、断らないで
家で待っていてよ
もう少しで到着するから』

やっぱりテツさんって優しいな

あたしは学生鞄に携帯を入れると、自分の部屋を出て行った

階段を下りていく

居間からテレビの音が聞こえる

ママとお義父さんはもう、仕事に行ってる時間だから

きっと良太郎だろう

嫌だな……会いたくない

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