禁じられた遊び
「よお、寝ボスけ
朝食はねえよ
遅いから、俺が捨てといてやったよ」

ソファに座っている良太郎が口を緩めて、嫌味な笑みを送ってきた

「あ…弁当もねえや
間違って、床に落としちまった」

キッチンの床に、蓋があいている状態で真っ逆さまに落ちていた

最低

ママが一生懸命作ってくれたお弁当を…

落とした上に、スリッパで踏んづけてある

あたしを傷つけるなら我慢するけど、ママの作ったモノを壊すなんて…

「ママのお弁当に何するのよ!」

あたしは弁当の蓋を、良太郎に向って投げた

「んだよ!
てめえこそ、俺に何すんだよ」

蓋はソファの上で、勢いを失う

良太郎にはかすりもしなかった

悔しい!

当てるつもりで投げたのに

「ママが作ったものを壊すなんて許さない」

「マザコンがうるせえよ」

「マザコンのどこがいけないのよ
ママがどんな思いでここまで生きてきたか、全然しらない男にママを壊されたくない」

「言っている意味がわからねえな~
馬鹿で尻軽女め」

良太郎がソファから立つと、大股であたしに近づいてきた

また、殴られる!

あたしは身構えた

目をつぶり、筋肉に力を入れる

「邪魔だ」

殴ろうと手をあげたまま良太郎が、勝手に倒れて行った

良太郎が床に顔面を打ちつける

え?

あたしが視線を上げると、不機嫌な顔をしている勇人さんが片足を上げた状態で立っていた

「俺の前でうろちょろと動くな
ゴキブリ野郎!」

勇人さんが低い声で、良太郎に言葉を吐き捨てた


< 64 / 200 >

この作品をシェア

pagetop