禁じられた遊び

「お前の家は呼び鈴が壊れているのか？」

「え？」

「押しても何の反応もなかった
壊れているなら、さっさと直せ」

勇人さんが私に口を開いた

「は…はあ」

昨日、ママがインターフォンを使ってたから多分、壊れてないと思うんだけど…

「インターフォンなんて使ってないでしょう」

テツさんが、ドアのところに立って口を開いた

テツさんはあたしと目が合うと、にっこりと微笑んでくれた

「いってーなぁ」

床に顔面をぶつけた良太郎が、起きあがった

後ろを振り返って、勇人さんを睨むがすぐに表情を穏やかにした

「会長！」

「邪魔なんだよ」

勇人さんが良太郎を上から見下ろした

良太郎は正座になると、膝を滑らせてあたしから数メートルほど距離をあける

「桃香の痣が増えているようだが？」

ぎろりと勇人さんの眼球が動き、部屋のすみに座っている良太郎に向く

「いえ……俺のせいでは…昨日の夜中、階段から落ちたんですよ」

「ふうん
お前が落としたのか」

「め…滅相もございません」

嘘ばっかり

あたしを思いきり何度も殴ったくせに…知らんぷりをするなんて

良太郎は首を横に振って必死に否定をしていた

「桃香、階段から落ちたのか？」

「え…あ、はい」

良太郎の前で否定したら、ママに迷惑がかかる

「桃香様が落ちてしまうような階段じゃあ……早急に直したほうがいいよね？」

テツさんがにっこりと微笑んで、良太郎を見つめた

「え…？
勝手に落ちたんだ」

良太郎が言い訳をしようとしたら、テツさんが部屋の中に入ってきた

良太郎の後ろに立つと、突然腰をおろした

良太郎の体が二つに折れたと思ったら、テツさんが良太郎の背中の上に座っていた

「…う…くっ…」

良太郎が苦しそうに顔をゆがめた