禁じられた遊び
私は小山内君の唇にひとさし指を置いて、言葉を止めた

「ストップ!
これ以上は聞いちゃいけないと思う
小山内君の気持ちはわかってるつもり…だからこそ頼れない」

小山内君は苦しそうな顔をすると、唇を舐めた

「小花、俺は…」

「小山内君、だから駄目だよ」

小山内君は席を立つと、私の手首を掴んだ

強く握りしめながらも、小山内君の手のひらからは温かい感情が伝わってくる

「おさな……」

私の唇は小山内君に奪われた

無理やりこじ開けられると、小山内君の舌が私を求めてくる

お互いの舌が絡み合う

ダメだって

小山内君とキスをしたら…友人同士の関係が崩れちゃう

お願いだから

私の気持ちを崩さないで

勝手に心の鍵を開けないで

蓋をしているの

感情を押し殺しているんだから

「こ…は、な」

「おさな、いくん」

小山内君には婚約者の貴美恵さんがいるんだから

貴美恵さんが……

小山内君のキスがもっと深くなる

私の手首から手を離すと、腰に手をまわして強く引き寄せてきた

息が熱くなる

身体が……とろけそう

私は小山内君の腕に手をそっと置いた

小山内君の激しいキスから解放されると、私はぐったりと小山内君の胸に頭を預けた

小山内君の手が私の髪を優しく撫でる

そしてぎゅっと強く抱きしめると、小山内君から離れてくれた

「……ごめん」

ぼそっと小山内君が謝ると、会長室に戻っていった

「私こそごめんね」

小山内君の気持ち…知ってるのにずっと知らないふりをしているの

私も小山内君の気持ちに応えたい

でも今、ここで応えたらお母さんと同じ人生になっちゃうような気がして嫌なの

だから来年まで待ってて
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