禁じられた遊び
重たい扉を開けると、まぶしいくらいの日差しがあたしの目を刺激した

春の爽やかな風が、頬をなでる

少し風が冷たいかも……

あたしは克波さんの姿を探した

コンクリートの地面にごろりと横になっていた

耳にヘッドフォンをつけて、音楽を聴いているみたい

あたしはゆっくりと克波さんに近づいていくと、克波さんが瞼を持ち上げた

「…んだよ
転校生がサボんなよ」

「うん」

だって…教室に戻れなくて

「俺になんか用?」

「うん」

小花さんと勇人さんのキスを思い出す

二人は想い合っている

じゃあ、克波さんの想いは?

「なんだよ」

「うん」

「お前、俺の話、聞いてる?」

「…え?」

あたしはハッとすると、克波さんの目を見つめた

「やっぱり聞いてねえよ」

克波さんが呆れた声を出した

耳からヘッドフォンを外すと、克波さんが起き上がってあぐらをかいた

「もしかして今朝の話が気になったとか?」

「たぶん、それもあると思う」

「曖昧なやつだなぁ」

「あたし、心が痛くて…」

「あ? 失恋でもしたのか?」

「違うと思う」

「心臓がわりぃのか?」

「いたって健康体だよ」

克波が首の後ろを掻いた

あたしはまた勇人さんと小花さんのキスを思い出す

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