禁じられた遊び
「俺も…良い加減、小花を忘れないとな
親父のモノになった女を女々しく思ってても……格好わりぃって」

「勇人さんは諦めるなって…」

言いかけてあたしは言葉を止めた

勇人さんは小花さんを愛しているのに、どうして克波さんを応援するようなことを言ったのかな?

小花さんが、克波さんを好きだと勇人さんも勘違いしているとか?

だから小花さんの想いを尊重するなら、克波さんに諦めてほしくないって思ってるの?

…わからない

「俺が追いかけてどうするんだよ
小花が苦しむだけだろ?
…なあ、俺に協力してくんない?」

「え?」

克波さんがまた起き上がった

あたしの顔を見て、にやりと笑った

「俺が良太郎からあんたを守ってやる
だがら、俺が小花を諦められるように協力しろ」

は?

何を言っているの?

また金持ち的に思考回路?

「協力って…何をするんです?」

「恋愛ごっこ」

「ええっ?」

あたしは大きな声を出した

「そうでもしなきゃ、俺は小花を忘れられないから
俺と恋愛ごっこしよ」

「…む、無理です」

あたしは首を横に振った

「良太郎から守ってやるって言ったのに?
ちゃんとギブ・アンド・テイクにしてあるじゃん
もしかして九条家のごたごたに巻き込まれるのが嫌とか思ってる?
平気だよ
巻き込まねえから
恋愛ごっこだから
俺が小花を忘れられたら、解放するよ」

克波さんがあたしの頭をポンポンと叩いた

「よし!
決まりな」

克波さんは笑顔になると、立ち上がった

ちょ…と、あたしはまだ承諾してないですけど!

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