禁じられた遊び
「くだらねえ」

小山内君が席を立つと、会長室に向かって歩き出した

「あれ?
勇人さんは食べないの?
俺、桃香が作った分を食べちゃったから、小花の分を食べれば?」

小山内君は足を止めると、鋭い目を克波に向けた

「いらねえよ
俺は甘いのが嫌いなんだよ」

小山内君も桃香ちゃんのクッキーが食べたかったの?

甘いの別に、嫌いじゃなかったはずだけど

どうして小山内君も機嫌が悪くなるの?

小山内君も克波も、ちょっと変だよ

何で?

「す…すみません
あたし、知らなくて…明日はきちんと甘くないのも用意します」

桃香ちゃんが椅子から立ち上がって頭をさげた

「無理して作る必要はねえよ」

「でも…皆さんで楽しく食べたいじゃないですか」

「いらねえんだよ」

小山内君は会長室に入って行った

桃香ちゃんががっくりと肩を落とした

「また機嫌を損ねちゃったみたい」

残念そうに桃香ちゃんが呟いた

「気にするなよ」

「そうだ!」

克波が桃香ちゃんの肩に手を置こうとすると、桃香ちゃんが勢いよく立ちあがった

「どこに行くんだよ!」

生徒会室の隅に置いてあるカートへと向かう

「飲み物を用意すれば、食べてくれるかな?って」

「はあ?
いらねえって言ってるんだから無理に用意する必要ないんしゃないの?」

「でも小花さんと一生懸命作ったクッキーだから
勇人さんには小花さんのクッキーを食べてもらいたいよ」

え?

桃香ちゃんが、私の顔を見て微笑んだ

もしかして……1限のときのキスを見られた?

だから休み時間にわざわざ鞄を取りに来たの?

私と小山内君が付き合ってるって誤解しているの…かな?
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