禁じられた遊び
桃香Side⑤
「おい、待てって」
廊下を走るあたしは、階段の手前で克波さんに肩を掴まれた
放課後の廊下はとても静かで、克波さんの透き通る声が響く
「どうしたんだよ」
「…ん」
だって苦しいだもん
勇人さんの気持ちも
克波さんの気持ちも
小花さんの気持ちも
痛いくらいに心に伝わってきて、苦しくて息ができなくなる
どうして?
なんで?
疑問符ばかりがあたしの頭に浮かんでは消え、心を締め付ける
みんな、好きな人と一緒になれたらいいのに…
だけどこのままだと、誰かが傷つく
もしくはみんなが傷つく
そう思うと、胸が痛くて
あの部屋にいるのが苦痛になる
良太郎に殴られたり蹴られたりするより、痛いよ
心が痛い
「『ん』じゃわからねえって」
「そうなんだけど」
「言えって。聞いてやるから」
あたしは首を横に振った
言えないよ
だって…小花さんの気持ちを知ったら、克波さんが傷つくから
「あ…そうだ」
あたしは手に持っているクッキーを、克波さんに差し出した
「何、これ?」
「クッキーです」
「んなの、見りゃわかるよ」
廊下を走るあたしは、階段の手前で克波さんに肩を掴まれた
放課後の廊下はとても静かで、克波さんの透き通る声が響く
「どうしたんだよ」
「…ん」
だって苦しいだもん
勇人さんの気持ちも
克波さんの気持ちも
小花さんの気持ちも
痛いくらいに心に伝わってきて、苦しくて息ができなくなる
どうして?
なんで?
疑問符ばかりがあたしの頭に浮かんでは消え、心を締め付ける
みんな、好きな人と一緒になれたらいいのに…
だけどこのままだと、誰かが傷つく
もしくはみんなが傷つく
そう思うと、胸が痛くて
あの部屋にいるのが苦痛になる
良太郎に殴られたり蹴られたりするより、痛いよ
心が痛い
「『ん』じゃわからねえって」
「そうなんだけど」
「言えって。聞いてやるから」
あたしは首を横に振った
言えないよ
だって…小花さんの気持ちを知ったら、克波さんが傷つくから
「あ…そうだ」
あたしは手に持っているクッキーを、克波さんに差し出した
「何、これ?」
「クッキーです」
「んなの、見りゃわかるよ」