禁じられた遊び
「ぎりぎりの生活しながらも、引っ越しが多かったって屋上で話したでしょ?
あれ……パパのせいなんだ
パパの暴力がひどくて、離婚をしたんだけど…ママと別れたくないパパが執念で探すんだよね
あたしたちの居場所を…
そのたびに逃げてた
住む場所もママの仕事先も全部変えて…
今のお義父さんはそれを知って、ママを受け入れてくれたんだ
パパから守ってくれるって…だからママを一人にして怖い思いをさせたくない」

「お前、いろいろと抱え過ぎなんだよ」

「やっぱりそう思う?」

「ああ」

ママが幸せになるためなら、我慢できるよ

今までだって我慢できたんだもん

何度も転校して、何度も住む場所も変えて

友達なんてできなかったけど

ずっとママと二人きりで生きてきたけど、苦しくなんてなかった

不満なんてなかったもん

平気

これからだってあたしはママのために生きていけるよ

痛いのだって我慢できるもん

「さて、あたしたちの目標が決まったよ!
小花さんに会いに行っておいでよ
きっと待ってるよ」

「どうだろうな」

あたしたちは背中を離した

あたしは階段を降りる

克波さんが、生徒会室に戻っていく

足を止めて振りかると、克波さんの大きな背中が夕日に照らされている

背筋が伸びて、自信に充ち溢れているように見える

決意をした男の後ろ姿は格好良く輝いている

良かった

克波さん、元気になったよ

…でも、そうなると今度は勇人さんが

小花さんも……

人の心って難しい

みんなが幸せになればいいのに、な

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