禁じられた遊び

小花Side⑤

私はおぼんにティカップと空になった皿をのせて、生徒会室に戻った

静かだなあ

誰もいない放課後の生徒会室なんて、初めてだわ

桃香ちゃんに怒りを感じているわけじゃないけれど

胸の奥がムカムカする

良い子すぎるってそれだけで、男の気を引けるのね

ちょっと悔しいな

私はおぼんを長机の上に置くと、ため息をつきながら椅子に座った

「私、何をしたいんだろう」

わからなくなっちゃった

九条家から自由になることしか考えてなかったから

今現在の自分の生活を見ようとしてなかった

私、九条の家に帰りたくないなあ

克海にまた無理やり抱かれるのかと思うと、心が重くなる

自分が選んだ道なのに

克波に抱かれて、地道に金を貯めていたほうが良かったのかもしれない

ううん

小山内君に頼ってたほうが良かったのかな?

お母さんと同じように生きたくないって思ってるくせに、結局、お母さんと同じ道に進んでいるのかな?

わからない

もう、何がなんだかわからないよ

私は長机に顔を伏せた

ふわっと紅茶の香りが鼻腔をくすぐった

桃香ちゃんがずるい

桃香ちゃんが羨ましい

ガチャ…と音がした

生徒会室の扉が開いたのだろう

もう、小山内君は帰ったから…交渉事じゃないといいな

私は顔をあげると、桃香ちゃんと一緒に帰ったはずの克波が立っていた

「ど…したの?」

私の声が擦れた

心臓の音が、大きくなり私の頭の中で響いている

どうしたの?
私の心臓っ!

どうして、こんな大きな音で鳴るのよ
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