おいしい紅茶を飲む前に
その通りであることは、すぐに証明される。

シェリルは夢中で建物を見上げているご婦人の横にぴたりと張り付き、ふたりの会話までも聞き取れる位置に移動した。

ご婦人が面積の豊富な方で助かった。願わくば、もう少し、昨夜の出来事に熱中して下さいますように。


 右足に重心を移動させて乗り出すと、フレディだけではなく、お相手の顔も見ることができた。

 あの人は。


「フレディ。あなた、どうしてここにいるの?」


「それは僕に言わせてもらいたいね。なにをやってるんだ、君は」

「あのね、ここで昨日の夜、放火殺人が起こったんですって。二階丸焼けよ、ほら」
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