おいしい紅茶を飲む前に
「あぁ、まぁ、面倒なことになっている。いいタイミングの休暇だよ、君は」


 おぉ。

フレディは瞬く間に後悔の表情を浮かべ、シェリルの顔に目を向けた。本当に事件が起きていようとは思わなかったのだ。

 彼女はフレディの視線などには気付こうはずもなく、熱心極まりない顔でレスリーの言葉を待っている。こんな時ばかり、そんな顔を。

 しかし。


「この先の公爵の館だ。事情は追って調査中なんだが、どうやら何者かが、王子と他二名を人質にして立てこもっているらしい」
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