おいしい紅茶を飲む前に
 フレディはそんなシェリルの腕を取り、メレディスに押し付けながら、緊迫した早口でこう言った。

「僕の妹だ。家まで送り届けてくれないか」

「フレディ、私はでも」

「クリスには僕から説明する。頼むよ」


「わかりました。お預かりしましょう」

「よろしく」

「お兄ちゃん?」

「大丈夫だ。先に戻っていなさい」


 妹の頭を軽くなでて、彼はそう命令を下した。そこに含まれた複数の感情を、正しく受け止めた上で、その判断を取ったのだ。


 安心できる人物に妹を託して、フレディは彼女に背を向ける。
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