おいしい紅茶を飲む前に
すみれと薔薇
その、『明日』。
ご近所の様子に慣れるために、最近では夫人のこまごまとしたお使いを引き受けていたシェリルは、道を一本隔てたところに下宿しているウォーレン教授にお届け物をした帰りに、今朝も、曲がり角で他人様に迷惑をかけてしまった。
頭の中を午後の予定に支配されていたために、こういうこととなる。
考えごとをしながら歩くことくらい、そろそろマスターしていただけたらと思うのだが。
「っとと、と」
「ごめんなさいっ。だいじょうぶでした?!」
二三歩ステップを踏んで、見事に体勢を立て直した相手にあわてて声をかける。