おいしい紅茶を飲む前に
 ふたりの様子を見ていた王子は、フレディにはそれが通じることに気付き、彼に話を始めた。
駆けつけてきた従者の一群に、控えているように手で命じて。

 その言葉は、天井のシェリルにとっても、かろうじて領域内であった。

生涯役には立つはずもなかったのに、思わぬところで価値があるものだ。

反発し続けた教育係に心の中で詫びなどしつつ、彼女は図らずも内緒話となった会話を楽しんだ。


 王子は頭の回転の速い人だ。正しく空気を読んでいる。
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