あいの手紙
夕日に後押しされて伸びる影。
1時間前に帰った麻結に続いて、図書館の椅子に張り付いた重い腰を持ち上げ私も帰路についた。
ほとんど人のいなくなったキャンパス内は、
閑散としていて
私と同じように勉強していた学生が数人に
ベンチに座って楽しそうに話してるグループが一組。
みんな思い思いに青春を送っている。
私の歩く前にもキャピキャピと楽しそうに歩く男女のグループがいる。
「あはは!まじぃ~?
リョウ超かわいぃ~!!」
「うるせっ!いいだろ別にっ!」
えっ…
リョウ?
その名前に必然的に引き付けられた。
男2人に女3人のそのグループはふざけ合いながら駅の方へと歩いてゆく。
「もー可愛すぎて食べちゃいたいっ!」
「ふざけんなっ!まじ置いてくぞアホ!」
「照れてる照れてるぅ~」
一人の女の子が隣を歩く男の子の腕に飛び付いたとき、
リョウと呼ばれた男の子の顔がまるでスローモーションのように写った。
茶色のサラサラの髪に
くりっとした大きな目。笑った顔が太陽みたいな・・・
ここにいるはずがない。
だってあなたは高校生でしょ?
「・・・涼」
現実から目を反らしたくて私は今きた道を走って戻っていた。