あいの手紙
「リョウ君…どうしたの?」
涼に会ってすっかり忘れてた。
鈴の音のような可愛らしい声にはっとした。
視線の先には
さっきの可愛い女の子。
「どちら…さま?」
くりっとした瞳で小首を傾げる。
「わ、私帰る!」
そこに居たくなくて
逃げ出してしまった。
急いで席に戻ってカバンを掴むと麻結のこともそこそこに、
一人店から飛び出した。
後ろで涼の声がしたような気もしたけど、
そんなの今は気にしてられないくらい
私はいっぱいいっぱいになっていた。
「由良ちゃん!」
あと駅まで角一つ曲がればというところで
涼に捕まった。
「やっ・・・!」
ギュッと握られた手首を振りほどこうとした。
けど、その手はそう簡単には離れない。